多くの企業が同じような悩みを抱えています

製造業での研究開発を担う技術者の方々にとって、特許を理解し、発明の創造に積極的に関与することは使命の一つであると考えられます。
しかし・・・、以下のような悩みを抱える企業は増加する一方です。

・そもそも特許に関する意識が殆どない
・発明の提案(届出)の件数自体が少ない、または減少が止まらない
・発明提案の件数はあるが、提案内容の質が悪い(レベルが低い)
・発明提案してくる人が毎回同じ顔ぶれである(発明者人口が増えない)

このような諸問題を生み出す要因として、以下の事情が語られることがあります。

  1. 技術革新によって自社技術が陳腐化してしまった。
  2. 諸事情により優秀な技術者が流出した。

    (中核を担った「団塊の世代」がリタイアした、リストラにより技術者が会社を去った等)

  3. 知財係争が少ない業界にいるので、製造・販売の差止めや損害賠償請求などの悲惨な経験を積んでおらず、会社全体として伝統的に意識が低い。

これらも原因の一部なのでしょうが、そもそも「適切な特許教育をしていなかった」ことが最大の要因であると考えられるケースも多いようです。
特許教育の軽視は、製造業として取返しのつかない事態をもたらすリスクがあります。

若手技術者への特許教育で、次代の「エース」を育てましょう

製造業にとって特許教育は重要ですが、特に若手~中堅の技術者の方への教育は最重要と考えられます。
特許に対する意識が低い状態のままで、この先10年・20年と研究開発活動をしてしまうことによる損失は計り知れません。
若手~中堅の方から「次のエース技術者」を育て、彼らを徹底的に支援していくことが必要です。全体の底上げも必要でしょうが、こんな時代にダメな人まで手厚い支援が出来るほど余裕のある会社はそれほど多くありません。

特許係争はさらにグローバル化しています

これまでは日本国内で特許係争の少なかった業界であっても、今後はわかりません。
急速に進んだグローバル化の流れで、係争の相手は知財を重視する外国企業(欧米企業のほか、中国企業・韓国企業など)へと徐々にシフトしてきています。
外国企業とはタフな交渉を強いられる場面も多く、お人好し(平和ボケ?)の日本企業同士のように、穏やかな話し合いで知財係争を丸く収めることが出来るとは限りません。
グローバルな戦いで生き残るためには、世界で戦える「強い特許」が必要になります。
従来、特許に関しては「無風業界」といわれるような業種の企業であっても、特許意識を高めておく必要があります。

従来型知財研修の”よくある問題点”は?

そもそも講師の話がつまらない

付き合いのある特許事務所の弁理士先生を招いて、社内向け研修会を開催することは多くの企業で行われています。もちろん優秀な弁理士さんを招いているのだと思います。
しかし、特許実務の能力と、人に教える能力(トークの能力も含む)は全く別物です。実務的に腕の良い信頼できる弁理士先生が、必ずしも教えることまで上手な先生であるとは限りません。(もちろん、双方を兼ね備えた先生方も存在します)
話が下手な講師を招くと、当然ながら受講者(特に技術者の人たち)はウンザリします。それどころか専門用語を連発することで特許に対するアレルギーが増幅するケースさえあります。
これは弁理士さんが悪いわけではありません。通常、弁理士さんは教育のプロではないので、仕方のないことなのです。敢えて言えば、主催者側の人選のセンスがないのです。
知財教育のことは「教育のプロ」に任せた方が効果が高いことは言うまでもありません。

法律や特許制度の話ばかりになってしまう

特許制度の基礎知識はもちろん重要です。しかし一般的な企業において、技術者の方々に対して特許法や特許制度の詳細を説明することに、どれほどの意味があるのでしょうか?通常は知財担当者が知っておけば済むレベルの内容まで話をする必要はありません。
特許法や特許制度の話は、多くの技術者にはウケません。むしろ「なんだか難しい話」であると感じてしまい、特許に対する余計な誤解が生じる恐れすらあります。
強い特許を生み出すための教育を目的とする場合に、特許法や特許制度を教えても効果はありません。特許制度の話をたとえ100時間しても発明提案が増えるわけがないのです。
いま多くの企業に求められているのは、「特許法をよく知っている技術者」ではなく、「強い特許を自ら生み出すことができる技術者」を育て、支援していくことです。
発明提案の数を増やしたい、特許の質を高めていきたいというのであれば、研修の主催者としてそのための具体的な方法を正しく教えてあげる責任があるのです。

座学ばかりでリアリティがない(結局は実践できない)

特に「発明の創造・展開・強化」といったテーマの研修をする場合、座学(単純な講義)だけでは「わかったつもり」で終わってしまうケースが多くなります。
研修で学んだことは、研究開発の現場で「実践」ができなければ意味がありません。
実践できるようになるには、現実的な題材で「演習」を行い、具体的なプロセスを実体験として習得することが最も効果的です。しかし、演習でどんな答えが出るかは、やってみなければわかりません。アドリブも含めて講師の高度なスキルが不可欠になります。
日本アイアール知的財産研修センターでは、演習を含めた実践的なセミナーのプロフェッショナルといえる講師による研修カリキュラムを多数用意しています。

過去の武勇伝を語る

かつて知的財産のセミナーといえば、業界の有名人による講演などが一般的でした。
例えば、大企業の元・知財部長さんの講話などは確かに立派な話が多く、参考になる点もあります。しかし、それは大企業の人的・資金的な基盤を前提に実現した成功談が殆どであり、さらには「時代の流れに恵まれていた」という側面もあるのです。
グローバル化が進行し数年先も予想できない混迷の時代に、特に日本の製造業が苦境を迎えている今日において、「古き良き時代の日本企業における元知財部長さんの武勇伝」を聞いても(元気は出るかも知れませんが)直接的な効果はあまり期待できません。
また、大企業のような基盤を有さない企業が、大企業と同じことができるわけがないのです。

知財部員が講師を担当することは?

社内研修において、知的財産部門の方々が講師を務めるという会社も多いです。もちろん話が上手で教えることが得意な方が担当するのだとは思いますが、結局は「身内」です。知財部門と研究開発部門は、見方によっては「利害関係者」であるとも考えられます。
知財部門は研究開発者の方に出願件数のノルマを課している場合も多く、研修の開催についても多忙な技術者にとってはそれなりに負担を感じている場合もあるかと思います。
知財部門は研究開発者を支援し、互いに協力して強い特許を作り出していくことが必要となる関係にある中、技術者の人たちに対して「厳しいこと、負担を求めること」を反感を恐れずに言える人はどれくらいいるのでしょうか?
知財部門として直接言い難いようなことは、外部の人間に代弁させることが賢明です。もちろん、日ごろから技術者の方から信頼の厚いベテラン知財部員の方などが講師をするのであれば、それほど問題はないかもしれません。ただ、そういう方がいないのであれば、外部のプロに任せた方が得策です。知財部門として技術者に直接的には言いたくないことも、外部のプロ講師が世の中の一般論として「こうあるべき」と語れば、技術者の方もそれなりに納得します。しかし、「身内」が話をすると必ずしもそうはいきません。
受講者に言って欲しいことを事前にお伝え頂ければ、プロの講師が皆さんの代わりにいくらでも熱く語ります。

戦略的で実効性のある「特許教育プログラム」が必要です

特許教育は、明確な目標も無く単発で研修を開催するだけでは高い効果は見込めません。
戦略的で実効性のある教育プログラムを策定・実行し、必要に応じて改善していかなければ中長期的に成果を出し続けることは困難です。とにかく「継続性」が重要です。

 

特許教育プログラムの運用と継続の重要性についてはこちらのページをご参照下さい。

 

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